第一回 「巫女会議って……なに?」


【一颯】「はいみなさん、次から私たちは「巫女会議」を行います」
【珠夏】「先生質問です! 巫女会議ってなんですか!?」
【一颯】「はい、良い質問ですね。巫女さんの現状を、再認識して貰うため、色々と話し合おうという集まりです」
【千莉】「現状って、例えばどんなこと?」
【麻祐奈】「巫女さんのお仕事とか、道具についてとかかしら?」
【一颯】「あまいわね、麻祐奈さん」
【麻祐奈】「ご、ごめんなさい……って、謝っちゃいましたけど、なにがあまいんですか?」
【一颯】「そんなぬるい題材を議題にはしないってことです」
【麻祐奈】「ぬ、ぬるい」
【鈴葉】「では、どんな議題で話を進めるのですか?」
【一颯】「うふふ、例えばどんな議題で話し合うかと言えば……」
【一颯】「巫女ブームはあったのか!?」
【玖良々】「きゃーこれはキツイです〜」
【珠夏】「いきなりそこまで踏み込むんだ」
【一颯】「そうです。この際、自分たちの立場を再認識しないとね」
【朱音】「自分たちの立場を……ですの?」
【一颯】「ええ、今回私たち、つまり巫女さんばかりが登場するゲームが発売されますが……」
【一颯】「そのためには、現在我々がどのように思われているか知ることが重要です」
【麻祐奈】「聞きますけど……ブームは関係あるんですか?」
【一颯】「おおありです!」
【麻祐奈】「ひっ! す、すみません」
【一颯】「ジャンルとして一時代を築いていたかどうか。それはとても重要なことです」
【珠夏】「巫女しか出ないゲームだからねー」
【千莉】「世間で巫女の人気がなかったら、即アウトってことだよ」
【玖良々】「えー!? アウトだったら、ゲーム売れないよ〜」
【一颯】「そう! 過去にブームもこなかったジャンルに、明るい未来はないということです!」
【一颯】「……実際ね、なんで今頃、巫女のゲームなんか作ってるんだという空気がねえ」
【鈴葉】「そんなことを言われるんですか?」
【一颯】「口に出す人もいれば、顔に出す人もいて……」
【麻祐奈】「先生、先生!」
【一颯】「あら? なあに、麻祐奈さん」
【麻祐奈】「こ、こんなマイナスな話題を、こんなところで言ってもいいんでしょうか!?」
【一颯】「どうして?」
【麻祐奈】「だ、だって! 普通は面白いってことを宣伝しなければいけないんでしょ?」
【珠夏】「まあ、普通はそうだよね」
【麻祐奈】「普通にしましょうよ! こんなネガティブキャンペーンみたいなこと止めましょう!」
【一颯】「どうして?」
【麻祐奈】「どうしてって、売り上げに関わるじゃないですか!」
【麻祐奈】「みんなだって、出演しているゲームじゃない! ほんとうにこんなんでいいの?」
【千莉】「……いいんじゃないの?」
【麻祐奈】「え?」
【千莉】「だって、これぐらいのこと、みんなも気が付いてるよ」
【珠夏】「そうだよね、黙ってたって、結局どっかから言われるんだし」
【珠夏】「それならいっそのこと、自分から言った方が罪も軽くなりそうじゃん」
【朱音】「つ……罪なんですの?」
【麻祐奈】「罪なわけないでしょ!」
【一颯】「ま、罪かどうかはともかく、やっぱり状況の認識は必要だと思うの」
【鈴葉】「まあ、そうかもしれませんが……」
【麻祐奈】「だからって……自分で自分の悪口言わなくたって……」
【一颯】「ではいよいよ、今度から本格的に会議を始めたいと思います」
【玖良々】「先生ー、議題はなんですか?」
【珠夏】「さっきのアレでいいんじゃない?」
【一颯】「そうね、じゃあ「巫女ブームはあったのか!?」で行きたいと思います」
【麻祐奈】「ああ、わたしたち絶対間違ってると思う! ねえそうよね! ねえ!?」


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