側頭葉のウェルニッケ野の機能障害によって発生する健忘症状。多くはビタミンB1の欠乏によって起こる興奮・譫妄症状であるウェルニッケ脳症が慢性化したものであり、外傷・脳卒中などが原因。そしてコルサコフ症候群の患者は被暗示性が強く、過去の記憶と妄想の区別がつかなくなるとのこと……。
ある日の早朝――
「はぁ、はぁ、ふはぁ、はぁ……」
俺の体の動きと伴って激しく循環していく血流。
乱れる息遣い。
「き、気持ちいい……はぁ、はぁ……」
ひたすら風を切るように体を動かし続ける。その度にこみ上げてくる高揚感。
爽やかに迸る汗。満たされていく心。
最近メタボリック気味な俺は、ちょっくら肉落としに励むかと、自然公園内にあるコースを走っていた。
すると前方で早朝にも関わらず、道端で眠っている女の子を発見。
すぐさま声をかけ、女の子から情報を聞き出そうとするが……。
――声をかけた少女には記憶が無かった――
これは犯すしかない。
だが、普通に犯したらレイプ確定は免れない。
しかし、俺の眼前できょとんとしている女の子には記憶がない。
だったら。新たな記憶を擦り込んでHしてしまえばいい。
俺は近くの森林の中に女の子を連れ込むと――
「……くれないか?」
「え?」
「俺のチ●ポを、舐めてくれないか?」
「な、何を言っているんですかっ!」
……
…………
……………………
「……という訳で、俺のチ●ポをしゃぶってくれ」
「……で、でも」
「大丈夫だ。俺を信じてくれ! 今、君を救えるのは俺しかいないんだから!!」
真剣な訴えに心打たれたのか、女の子は頷くなり肉棒の先端に口を近づけてくる。
そうだ! 俺のモノを咥えろ!!
女の子の唇があと2センチという所まで接近した。
「おいおい、朝っぱらから青姦かよ……げへへっ」
「きゃっ!」
「ちっ、邪魔しやがって……」
PM(警●官)っぽい制服を着ていようが、俺の邪魔をするヤツは誰であろうと鉄拳制裁だ!!
「…………」
「あははっ、あはははははは……っ!!!」
「へぇっくしゅんっ!!」
「…………ん? 何だ夢かよ……」
とうとう夢にまで見るようになってしまったという事か。
「あ~あっ……どっかに記憶の飛んだ女の子倒れてねぇーかなぁ……」
いる訳が無い。
脳内ツッコミを自分に浴びせながら、地面に落としてしまっていた全国模試五位の封筒を拾い上げた。
刹那――
「何で俺……」
外……土手で倒れてるんだ?
俺はただ、首を傾げる事しかできなかった。
『94式 妄想? 夢? 現実なのかもわからない』